まずはロイとノイが卵から孵ったばかりの頃に遡ります。
ロイよりほんの少しだけ先に孵ったノイ。それがロイが卵から孵って初めて見た顔だった。
その日から
ロイは木竜術士カディオの二番竜になった。
二番竜。
それが嫌だと思ったことはない、けれど――。
2人が孵ってから数日後(だと思う;)、カディオさんは早速2人に花の種を見せ、それがどう育つのかを教えます。
竜術で育てるのではなく、自然に育つ様子を知って欲しいというのは今と変わりませんね。
そこへ木竜の卵が孵ったという話を聞いたノーセ、ベルティ、そしてメオがやって来ました。
補佐竜仲間としてあいさつにやって来たそうです。
現在のロイたちと外見年齢は同じくらいのノーセとベルティは当時の補佐竜の中では年長組になりますが、メオはまだ現在のナータたちくらいです。
「○竜術士○○の○番竜○○です」というのが、初めて会う竜同士の挨拶の仕方。
それをしっかり出来たノイとロイを、ベルティとノーセは褒めますが、メオは何でと怒ります。
「二番竜は補佐竜にはなれないだろ!!」怒鳴るメオにノイもロイも驚き、特に二番竜であるロイの方は顔を青ざめさせます。
そんな2人の様子には気づかず、メオは二番竜は交代させられることもある、里に連れ戻されて戻って来られなくなる事もあると叫びます。
「ずっとずっと竜術士と一緒にいて、竜術士のお手伝いをする役目なんて、できっこないだろっ!!」レリが帰ってしまった後なんだな~、それで責任を感じてるけどその気持ちをどうしたらいいか分からずにロイにぶつけちゃってるんだな~、というのは、事情を知っているこちらにはすぐに分かることですが、そうでないロイとノイには分かりません。
今にも泣きそうになっているロイに気づき、ノイがキッとメオを睨みつけます。
「どうしてそんないじわるゆーのっっ!? ロイはほさりゅーよっ!! わたしといっしょにカディオのほさりゅーずっとするの!!」ほんのちょっとの差だけど、やはりノイの方がお姉さんって感じですね~。
ノイが怒ってくれたことに驚いてか、ロイの涙も引っ込みますが、今度はメオがぽろっと涙を零しました。
「補佐竜に……なれたらレリだって……ずっと……コーセルテルにいられたのに」そう呟いて、メオは走り去ってしまいました。
森に入ったら迷子になると、ノーセが慌てて追いかけます。
ロイはカディオさんに、あの子の二番竜はいなくなっちゃったのか、二番竜は補佐竜にはなれないのかと不安そうに訊ねます。
しかしその問いにはベルティが答えます。
普通は補佐竜は一番竜だけがなるもの。
一番竜は竜術士の力を一番たくさんもらって大きくなる。だから竜術士を助け、下の子たちを守る補佐竜になれる。
それを聞いて二番竜であるロイはまた泣きそうになりますが、ベルティは
「実は君は一番竜なの」と言います。
たまたま二番目に生まれただけの、一番竜と同じだけ力をもらった二番竜。
「だからあなたたちはふたり補佐竜でまちがいないわ」カディオさんが元々力のある精霊術士だったからこそできたことのようです。
ふたり補佐竜はめったにないこと、そして竜術士に預けられた子竜が里に帰されるのもそれこそめったにないことのはず――だった。
けれど火竜家の二番竜レリは怪我をして養生のために里へ帰っていた。怪我が治れば戻って来るはずだったのに、里の事情で帰って来れなくなってしまった。
メオはレリの怪我に責任を感じていて、戻って来られなくなったことで余計に負い目を感じてふさぎこんでしまっているけど、本当は強くて優しくて元気な、とってもいいお兄ちゃん。
だからお願い、と、ベルティはノイとロイに、メオと友達になってと頼みます。
実は今日来た目的はそれだった。新しい友達ができて仲良くなれば、元気を取り戻してくれるんじゃないかと。
新しい、これからの友達が――。ベルティの話に、カディオさんはノーセに連れられて戻ってくるであろうメオを、たくさんの花で出迎えてやろうとノイとロイに提案します。たくさんの花を見ればたいてい誰でも嬉しくなるもの。
あの子の元気な顔を見たくはないかと訊かれたノイとロイは、うんっと満面の笑みで返事をしました。
そしてカディオさんは2人に家の中へ花の種を取りに行かせ、ベルティに
水竜家も代替わりが近いのかと訊ねます。
地竜家はもうランバルスさんが修業を始めているから、ノーセもベルティもいなくなったら大きい補佐竜がいなくなる。
ベルティの水竜術士・ルギはもう高齢だから、エカテリーナさんに早く跡継ぎを見つけてと頼んでいるそうです。
残る子竜で一番前からいるのはラルカだけど、暗竜は成長がゆっくりだしラルカはおとなしい。だからきっと
メオの負担が大きくなる。もちろんジェンは助けてくれるだろうけど、
頼れる友達はいっぱいいれば安心。
ノーセもベルティも補佐竜の期間が長いし、他家が代替わりしていった中で残った年長者だから余計に、他の子竜たちのことも気がかりなのでしょうね。
そしてカディオさんとベルティの会話は、早くも戻って来ていたノイとロイはドアの前で聞いていました。
もしかしたら2人は、カディオさんだけじゃなくてメオのためにも早く成長したのかもしれませんね。
そしてノーセに連れられてメオが戻ると、木竜家は花でいっぱいに。
メオはノイとロイに謝り、ノイとロイはメオに花束をあげて仲直り。
ロイは木竜術士の二番竜。だけど一番竜と同じ補佐竜。
イヤどころかそれはとてもありがたいことで、お陰でたくさんの友達ができた。
メオだけでなく、ラルカ、ジェン、ユイシィ、リリック。他の補佐竜たちもみんな大切な友達ですもんね!
そして――……。
現在に戻ります。
ロイが畑仕事をしていると、メオが訪ねて来ました!!
里の使いで来たけど今日は水竜家で寄り合いの日だっただめ、火竜家は留守。別の用を先に済ませようと木竜家に行ったらロイもノイもいないので、畑に来たと。
カディオさんではなくロイかノイに用だというなら里の用ではなく個人的な頼みだろうと、少し嬉しそうに言い当てるロイ。
メオの方は少し恥ずかしそうに、
花をつくってもらいたくてと言います。
メオが花をと驚くロイに、メオは照れ隠しのために少し声を荒げながらも、レリが結婚するから火竜の里でも咲く暑さに強い花を贈ってやりたいと言います。
「あの時みたいなたくさんの花で祝ってやりたくてな」――あの時。
2人が友達になった、あの時。
そして、友達になったらそれで終わりではなりません。
たとえ誰かが里を出て行っても。
これから自分が里を出たとしても。
今でも、これからも、友達はずっと友達。
こういう年月をかけた友達の話は、まだマシェルの子竜たちにはできませんね。
でもマシェルが望んでいる子竜たちの未来は、まさにこのロイやメオのような関係なわけですからね。
時が経っても消えない絆というのは、素敵なものです……♪
そして石動先生の描かれるお話は本当に素敵だなぁと改めて思いました。
お前はメオが出て来れば何でもいいんだろと言われたら否定はしませんが(苦笑)