「コーセルテルの竜術士」シリーズの感想と、たまに二次創作小説を書いています。
他の漫画やアニメの話もしますので、色々ネタバレ注意です!
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「ひとつにひとつ」 (ゼロサム8月号)
今回は現行のストーリーからちょっと離れて書庫の精霊の過去のお話。
でも本編に無関係なわけではありません。
今回は現行のストーリーからちょっと離れて書庫の精霊の過去のお話。
でも本編に無関係なわけではありません。
最初はリンテが小さかったように、書庫の精霊も小さかった。
けれど竜都の時代には書庫回廊にもたくさんの人が訪れていて、その人たちに探している本の在処を教えてあげればとても喜ばれ、また本もどんどん増えていき、書庫の精霊は大きくなっていった。
しかし、ある時から誰も書庫を訪れなくなった。
竜都が滅びた時ですね。
真っ暗な書庫で再び誰かが来るのをひたすら待っていた書庫の精霊。
どれほど経ったか分からないある日、地竜術士の一家が「これが伝説の書庫回廊か!」とこの場所を見つけ出します。
伝説になっている辺り、ものすごく長い期間だったのでしょう。
待ちに待った本を求めてくれる人に書庫の精霊は喜びます。
しかし、もっと本を求めて欲しい、もっともっと本が欲しいという書庫の精霊の願いは、純粋な喜びから段々と歪んだ望みに変わっていってしまいます。本を愛する気持ちが強いゆえに。
そしてある日、1人の竜術士が自分の子竜たちが書庫にこもってばかりいるのを見かねて書庫の精霊から引き離します。
いくらでも本を探してあげるのに、いつまでも本を読んでいてほしいのに。
書庫の精霊の願いはさらに歪み、ずっと本といられるように人を捕まえて書庫に閉じ込めてしまおうかと考えるように。
この頃には書庫の精霊が書庫のおばけと呼ばれるようになっており、その噂に怯えてほとんど人が訪れなくなってしまっていました。
そんなある日、本が嫌いだという竜術士がやって来ました。
書庫の精霊が本を探してあげると言うと「いらん!」と即座に否定し、何でみんなあんなに本が好きなんだと文句まで。
それを聞いて書庫の精霊は泣き出してしまいます。
竜術士は本の精霊に本が嫌いだなんて言っちゃいかんかったなと慌てて謝ります。
全っ然、地竜術士に見えないけど、子竜が地竜なので地竜術士なのでしょう。髪と服のトーン的に火竜っぽく見えますけども!(笑)
その地竜術士、自分の地竜たちはみんな本が好きで、書庫の精霊に本を見つけて欲しいけど、のべつ幕なし本を与え続けられるのは困ると言います。
そこでこれからは新しい本ひとつにひとつ本の在処を教えるというやり方にしてほしいと提案。
そうすれば本が好きすぎてハメを外す奴は減るだろうし、書庫の精霊は本を手に入れられる。
「それに、あんたも嫌なこわいおばけにはならずにすむ」
そう言って地竜術士は微笑みました。
書庫の精霊が黒精霊になりかけていたのを知って、止めに来てくれたのですね。
しかしその後、黒精霊にあんたよく見たら美人だなって嬉しそうなんですが……軽い!!(笑)
よくしゃべるし表情の変化は激しいしで、本当に地竜術士には見えないですね。
新しい本ひとつにひとつの本の在処。
そのルールの始まりを書庫の精霊はユイシィとロービィに話していたようです。
2人は、マシェルたちがダグが元となった黒精霊を助けると言いだすだろうと予想して、必要な本をすぐに探せるように新しい本(=ユイシィが小さい頃から書き留めていた日誌を清書して本にしたもの)を準備していたのです。
さすがユイシィ!!
書庫の精霊は、ひとつにひとつではとても物足りないと思っていた。
けれどその約束を守っていれば必ず本を持ってきてくれる人がいて、お陰で書庫の精霊は黒精霊にならずにすんだ。
あの地竜術士が言っていた。
思いから生まれた精霊は、その思いが強くなればなるほど良くないものに転化しやすい、と。
けれど逆に、悪い思いから生まれたものを転化させることも――。
そんなことを言っていたような気がすると思い出す書庫の精霊。でも、本にない記憶はあやふや。
それでも、マシェルとその子竜たちなら、あの黒精霊を救えるかも、と、書庫の精霊は微笑みます。
いいえ、きっと彼らなら、と――。
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