「コーセルテルの竜術士」シリーズの感想と、たまに二次創作小説を書いています。
他の漫画やアニメの話もしますので、色々ネタバレ注意です!
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ピクシブに櫂くくの「未来へ」という小説を投稿してきましたが……あれ、書き直した3本目です。
いや、元々13話の内容によっては投稿できないな~と思って書いたものが、予想通りそのままでは投稿できなくなってしまったので、書き直したものです。
具体的に言うと、くくるが櫂くんがティンガーラに就職することを知らなかった、というのが問題でして。
説明を端折るためにそうなる気はしてたんですけど……我慢できずに先に書いてしまったので、結局書き直すハメになった、と。
なので、本来書いたものをここに載せます。
ちょっと台詞が違うだけでほとんど同じなんですけど、そのちょっと違う台詞が重要なので、こっちの方が気に入ってます。。。
「くくる!」
風花を見送った空港からのバスをくくるが降りると、彼女を出迎える声があった。
「櫂?」
幼馴染みの姿を見つけると、くくるは驚いて瞳を丸くする。
「何で櫂がここにいるの?」
「お前を迎えに来たに決まってるだろ」
不思議そうな顔をするくくるに、そんなに驚くことはないだろうと櫂は苦笑し――じっと、彼女の顔を見つめた。
何か言いたそうな櫂に、くくるは一体何だろうとまばたきをする。
櫂は、ふっと表情を和らげた。
「お前が泣いてるかもって心配して来たんだけど、意外と大丈夫そうだな」
そう言われ、くくるは一瞬、大きく瞳を瞠り――
「私、そんなに子供じゃないんだけど」
むっとして頬を膨らませた。
その態度は完全に子供である。
「悪い悪い。でも本当に、大丈夫なのか……?」
もしかしたら泣きたいのを我慢しているのではないかと、櫂は再びじっと彼女の顔を見つめる。
心配そうに顔を覗き込んでくる幼馴染みに、くくるはくすりと微笑んだ。
「大丈夫だよ。そりゃ、さよならするのは辛かったけど、でも私が泣いてたら風花が心配しちゃうから。だから私、決めたの」
「何を?」
「私、ティンガーラに行く!」
そう言ってくくるはにこりと満面の笑みを見せる。
「私、やっぱり生き物たちが大好きだから。がまがまじゃなくても、みんなのそばにいたい。私がみんなの家を守りたいから」
まだがまがまを失った悲しみも、大好きな友達と別れた寂しさもあるだろう。
それでも前へ進むと決めた彼女の笑顔に、嘘はなかった。
「そっか」
くくるの笑顔を見て、櫂は肩を竦ませる。
少し前まで消えそうに震えていたあの背中は、今はどこにも見えない。
そのことに安堵し――しかし同時に寂しさを覚える。
彼女はもう、1人で大丈夫。
だからこそ、自分はもう必要ではないのかもしれない。
でも――
「――オレも」
櫂は真っ直ぐにくくるを見つめた。
「オレも行こうかな、ティンガーラ」
「え……?」
櫂の言葉に、くくるは驚く。
「行くって……就職するってこと? 何で? だって櫂は漁師になるんじゃ……」
瞳をぱちくりとさせるくくるに、櫂はまた苦笑した。
「がまがまで働くの、楽しかったし。それに、オレ、親父に後を継げって言われたことないんだよな」
「いつも仕事手伝ってるのに?」
「手伝えとは言われるんだ。でもそれは多分、手伝って漁師の大変さを知った上で、後を継ぐかどうかは自分で決めろってことなんだと思う」
櫂はくくるを見つめる。
彼女には、自分はもう必要ではないのかもしれない。
それでも――彼女のそばにいたい。
「今まではオレも、オレは親父の後を継いで漁師になるんだろうなって思ってた。でもそれは、オレがやりたいことを見つけてなかっただけなんだよな」
「櫂……」
くくるもじっと櫂を見つめ返す。
そして――彼も自分と同じなのだと思った。
くくるは子供の頃からがまがま水族館を手伝って来た。
だから高校を卒業したらがまがまに就職して、ずっとそこで働くつもりだった。
それはくくるにとってはがまがまがすべてであり、唯一だったからだ。
他の職業についてなど考えたこともない。
けれどそのがまがまが閉館して、くくるは新しい水族館に行くことを決めた。
確かに水族館という点では同じだが、がまがまが我が家同然だったくくるにとっては、他の水族館はまったくの異業種である。
それでも、決めた。
自分でやりたいと思ったことを貫くために。
生き物が大好きという気持ちを大切にするために。
「――そっか!」
くくるは笑った。
まるで大輪の花が咲くように。
「櫂が一緒なら心強いよ! 頑張ろうね!」
くくるが櫂に手を差し出した。
彼女の笑顔に一瞬見惚れていた櫂は、ハッとして自分も手を差し出す。
「ああ、これからもよろしくな」
――できることなら、この先ずっと。
彼女をそばで見守って、時には支えて、いつまでも隣に立っていたい。
そんな不純な動機をそっと隠し、新しく見つけた夢への希望を抱いて。
自分たちを待つものが良い未来であるようにと願いながら、2人は互いの手をしっかりと握り合った。
で、実はこれ↑も書き直した2本目でして。
1本目はもうちょっと後半の内容も違うんですけど、あんまり無責任なこと言わせられないなと思って書き直したんです。
ちなみに最初のタイトルは「ティンガーラに誓う」でした。
投稿してある「ティンガーラに願う」に合わせてたんですが、内容を変えたらタイトルと合わなくなったので変えました。
あと、ここで言うのもどうかって感じですが、このティンガーラ、天の川という言葉通りの意味ももちろんあるのですが、アクアリウム・ティンガーラの意味も含めています。
新しくできる大きな水族館にくくるの心が潰されてしまわないように、という。
さらについでに、わざとルビ振ってないんですけど、「少女の心」の部分の「心」はくくると読んでもらえればなぁ、と。
「くくる!」
風花を見送った空港からのバスをくくるが降りると、彼女を出迎える声があった。
「櫂?」
幼馴染みの姿を見つけると、くくるは驚いて瞳を丸くする。
「何で櫂がここにいるの?」
「お前を迎えに来たに決まってるだろ」
不思議そうな顔をするくくるに、そんなに驚くことはないだろうと櫂は苦笑し――じっと、彼女の顔を見つめた。
何か言いたそうな櫂に、くくるは一体何だろうとまばたきをする。
櫂は、ふっと表情を和らげた。
「お前が泣いてるかもって心配して来たんだけど、意外と大丈夫そうだな」
そう言われ、くくるは一瞬、大きく瞳を瞠り――
「私、そんなに子供じゃないんだけど」
むっとして頬を膨らませた。
その態度は完全に子供である。
「悪い悪い。でも本当に、大丈夫なのか……?」
もしかしたら泣きたいのを我慢しているのではないかと、櫂は再びじっと彼女の顔を見つめる。
心配そうに顔を覗き込んでくる幼馴染みに、くくるはくすりと微笑んだ。
「大丈夫だよ。そりゃ、さよならするのは辛かったけど、でも私が泣いてたら風花が心配しちゃうから。だから私、決めたの」
「何を?」
「私、ティンガーラに行く!」
そう言ってくくるはにこりと満面の笑みを見せる。
「私、やっぱり生き物たちが大好きだから。がまがまじゃなくても、みんなのそばにいたい。私がみんなの家を守りたいから」
まだがまがまを失った悲しみも、大好きな友達と別れた寂しさもあるだろう。
それでも前へ進むと決めた彼女の笑顔に、嘘はなかった。
「そっか」
くくるの笑顔を見て、櫂は肩を竦ませる。
少し前まで消えそうに震えていたあの背中は、今はどこにも見えない。
そのことに安堵し――しかし同時に寂しさを覚える。
彼女はもう、1人で大丈夫。
だからこそ、自分はもう必要ではないのかもしれない。
でも――
「――オレも」
櫂は真っ直ぐにくくるを見つめた。
「オレも行こうかな、ティンガーラ」
「え……?」
櫂の言葉に、くくるは驚く。
「行くって……就職するってこと? 何で? だって櫂は漁師になるんじゃ……」
瞳をぱちくりとさせるくくるに、櫂はまた苦笑した。
「がまがまで働くの、楽しかったし。それに、オレ、親父に後を継げって言われたことないんだよな」
「いつも仕事手伝ってるのに?」
「手伝えとは言われるんだ。でもそれは多分、手伝って漁師の大変さを知った上で、後を継ぐかどうかは自分で決めろってことなんだと思う」
櫂はくくるを見つめる。
彼女には、自分はもう必要ではないのかもしれない。
でも自分には、彼女が必要なのだ。
「今まではオレも、オレは親父の後を継いで漁師になるんだろうなって思ってた。でもそれは、オレがやりたいことを見つけてなかっただけなんだよな」
櫂は空を見上げた。
街中では星の光は少し弱く、海辺では圧倒されそうだった天の川も、今はその存在すらあやふやだ。
それでも、確かにそこにある。
見えにくくて、気づきにくかったけれど。
「オレ、水族館の仕事を続けたい。それで、もし叶うなら、いつか、がまがまを――」
その先の言葉を、櫂は続けなかった。
代わりにくくるを見つめて、微笑む。
くくるは瞳を大きく見開き――込み上げてくる涙を堪えて、微笑み返した。
それから、とん、とくくるは彼の胸に自分の額を当てる。
「ありがとう、櫂」
そう呟いた彼女の声は震えていた。
その肩も、小さく震えている。
けれど、それは悲しみからではないから。
櫂はそっと、彼女の頭に手を置いた。
未来のことは分からない。
だからこそ、己に誓う。
きっと、きっと。
この純粋な少女の心に、どんな時でも寄り添っていたいと思うから。
今は見えない、未来(ティンガーラ)に誓う――。
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