「コーセルテルの竜術士」シリーズの感想と、たまに二次創作小説を書いています。
他の漫画やアニメの話もしますので、色々ネタバレ注意です!
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=ピクシブ投稿作品=
▼「きみそめ 1」
やっとティンガーラ編の空風です!
今回から識別のためにシリーズタイトルをつけたのと、続き物になります。
続き物と言っても、アニメの内容に沿って進めて行くというだけで、それぞれ1話完結形式です。
今回は14話より。
で、いつものごとく、没版。
2本あって、1本目はもはや別物。
ナンパされる風花ちゃんを空也さんに助けてもらおうと思ったのですが、まだ空也さん出て来てません…;
(今日はご飯、どうしようかな)
仕事を終えて着替えながら、風花は夕食のことを考えていた。
本来ならくくると一緒に夕食を作って2人で食べるつもりでいたのだが、今日は残業をするというくくるからのメールが来ていたのだ。
彼女は副館長に命じられたという企画を頑張って考えているらしい。
何か手伝おうかと返信をしたのだが、企画自体はもう考えてあって、あとは企画書を作るだけだから大丈夫と返事が来たため、風花は先に帰ることにしたのだ。
(OHANAに寄って行こうかな……)
もちろん1人で夕食を作ってもいいのだが、くくると一緒に作るつもりでいたためにすっかり気が削がれてしまい、少し面倒に思ってしまう。
OHANAに行けば月美に会えるし、もしかしたら夏凛もいるかもしれない。
(うん、やっぱりそうしよう)
ティンガーラを後にした風花は、OHANAへと足を向けた。
定時よりは少し遅い時間のため、ティンガーラの周辺は人通りも少なく静かだ。
海沿いの道を、風花はゆっくりと歩いて行く。
(あ、あそこにカフェがある。あっちはケーキ屋さんかな? あ、あの雑貨屋さん可愛い! あとでくくると一緒に行こう!)
ティンガーラに就職してから日が浅いため、仕事を覚えるのに忙しく、職場とアパートの往復ばかりで、まだ周辺の散策をできていない。
だからただ歩くだけでも様々な発見があり、風花はつい辺りをきょろきょろと見回してしまう。
――そのせいだろうか。
「ねぇ、きみ、1人?」
「1人で観光なんて寂しいでしょ。オレ達と一緒にご飯行かない?」
風花より少し年上くらいの2人連れの男性に声を掛けられた。
どうやら風花を1人で旅行している観光客だと思っているらしい。
「あ、ごめんなさい。大丈夫です」
風花はすぐに断りを入れた。
そして長居は無用だとさっさと行こうとしたのだが、
「遠慮しないでよ」
腕を掴まれ、風花は足を止めてしまう。
「オレ達この辺詳しいからさ~」
「いえ、あの、私、約束があるので……!」
風花は咄嗟の言い訳を口にしながら男の腕を振り払おうとするが、しっかりと掴まれていて離れてくれない。
(どうしよう……!)
まさかこんな所でナンパされるなんて思っておらず、完全に油断していた。
助けを求めようにも、周辺に人の姿は見当たらない。
近くに何軒か店はあるが、叫んだところで中まで声が届くかどうか分からないし、下手に彼らを刺激して怒らせたら、何をされるかそれこそ想像もしたくない。
「ほら、行こうよ」
そう言って男が風花の腕を引っ張った。
「いや、離して――」
↓2本目(続きからどうぞ)
一部、1本目と被っている部分があります。
モブの職員が2人、めっちゃしゃべってます。モブを出しゃばらせ過ぎたのでやめました。
空也さんって書いてないけど、最後に出て来たのが空也さんです。
「なぁ、あの子見たか?」
「あの子って?」
「遅れて来た新入社員の子だよ。めっちゃ美人だった!」
「マジで? オレまだ見てないや」
昼食を取るために休憩室にやって来た空也は、ふとそんな会話を耳にした。
今日は轟介はシフトに入っておらず、櫂は新入社員同士の親睦を深めるとかで昼食は別の場所に行ったため、空也は1人で座れる席を探していた。
生き物の体調や仕事の進捗状況によっては必ず決まった時間に休憩に入れるとは限らないため、昼休みは各々自由に入れるのだが、やはり12時から13時の時間帯を選ぶ者が多く、この時間は混み合ってしまう。
空也は少し遅めにして12時半を過ぎてから来たのだが、まだ休憩室内はほとんどの席が埋まっていた。
そんな中、空也は窓際の1番奥の席に座っている2人組の男に目を向けた。
同じ飼育部で魚類担当ではあるが、チームが違うためほとんど会話を交わしたことはなく、顔は何となく分かるが名前までは思い出せない。
ちょうど彼らの前の席が空いたため、空也はそこへ足を運ぶ。
「確か名前は宮沢さんだったかな? この前まで高校生だったとは思えないくらいすっごい綺麗な子でさ~」
「へ~、お前が言うなら相当な美人だな。もう声掛けたのか?」
「いや、海獣担当になったみたいでさ。まだこっち来てないんだよ」
「海獣か~。向こうは魚類よりシフト厳しいみたいだからな~」
もう昼食は済ませたようなのにまだ席を立つ気のないらしい2人を背に、空也は椅子を引いて座った。
いただきますと手を合わせ、コンビニで買って来たおにぎりを開ける。
「そうそう。でもまだ入ったばっかだし、さすがに今週はまだ遅番はないだろ」
「ん? でもお前、確か今週は……」
「今日以外全部遅番!」
「だよなぁ」
「だから今日誘う!」
ビリっ
空也はおにぎりの包装を開けるのに失敗し、海苔を破ってしまった。
「マジか~。頑張るな~」
「だってあんな美人、他の奴らだって絶対放っておかないって!」
「いやぁ、ティンガーラ(ここ)でそんなにがっついてんのお前くらいだから」
「悪いかよ!? オレは彼女が欲しいんだ~!」
「あ~、分かった、分かったからこんな所で叫ばないで?」
1人が叫んだためか周囲の視線が2人の方へ注がれ、さすがに居心地が悪くなったのか、彼らは席を立って休憩室から出て行った。
一瞬だけ静かになった室内は、再びざわざわと騒めきを取り戻す。
(…………)
海苔の破けたおにぎりをしばらく見つめていた空也は、はぁと溜息をつき、包装に残った海苔を引っ張り出して口に運んだ。
パリパリとした海苔を咀嚼して、ごくりと飲み込んで。
(あんなに、綺麗になってたら――)
空也は再び溜息をつく。
湧き起こる焦燥と嫉妬に、胸の騒めきが激しくなるのを感じた。
(今日はご飯、どうしようかな)
仕事を終えて着替えながら、風花は夕食のことを考えていた。
本来ならくくると一緒に夕食を作って2人で食べるつもりでいたのだが、今日は残業をするというくくるからのメールが来ていたのだ。
彼女は副館長に命じられたという企画を頑張って考えているらしい。
何か手伝おうかと返信をしたのだが、企画自体はもう考えてあって、あとは企画書を作るだけだから大丈夫と返事が来たため、風花は先に帰ることにしたのだ。
(OHANAに寄って行こうかな……)
もちろん1人で夕食を作ってもいいのだが、くくると一緒に作るつもりでいたためにすっかり気が削がれてしまい、少し面倒に思ってしまう。
OHANAに行けば月美に会えるし、もしかしたら夏凛もいるかもしれない。
(うん、やっぱりそうしよう)
OHANAに寄って行くことに決め、風花は更衣室を後にする。
定時よりは少し遅い時間のためか、風花の他に更衣室内に人はおらず、社員用の出入口までもほとんど人と会わなかった。
だから、
「あ、来た来た」
社員用の出入口の前に立っていた2人の男性の姿に、風花は思わず身構えてしまう。
この時間にこの場所にいるのだからティンガーラの職員であることは間違いないだろうが、彼らのその言動だけで風花を待っていたことは明白だ。
もしかしてアイドル時代のことを知っているファンだろうか――そう思いながらも、風花はゆっくりと足を進めた。
立ち止まるのも引き返すのもおかしいし、帰るためにはあの自動ドアをくぐらなければならないのだから。
「ねぇ君、新入社員の宮沢さんだよね?」
「は、はい」
声を掛けられ、風花は足を止めた。
少し緊張して声が上擦ってしまったが、すぐに彼らがファンではないことに気づいて少しだけほっとする。
ファンだったなら「新入社員の」ではなく「ヨナプロの」と言うはずであるからだ。
けれどそれでも彼らが風花を待っていたという事実は変わらない。
風花は次に掛けられるであろう言葉を予想し、それに対する答えをどうすべきか考える。
相手は同じ職場の先輩である。
失礼のないようにしなければ――。
「オレら、同じ飼育部なんだ。担当は魚類なんだけど」
「急にごめんね~。こいつがさぁ、すっごく綺麗な子が入ったからどうしても挨拶したいって言ってさぁ」
「おい、余計なこと言うなよ!」
「だってめっちゃ警戒されてるじゃん。だいじょーぶだいじょーぶ、いきなり取って食ったりしないからさ~」
「だから……!」
もっと強引に誘われるかと思っていた風花は、漫才のような2人のやり取りに思わず笑ってしまう。
「あ、あの!」
くすりと笑みを零した風花に一瞬見とれていた男が、姿勢を正して真っ直ぐに風花を見つめて来た。
「急にこんなこと言われても迷惑だと思うんだけど、もし良かったらこれから食事にでも――」
最初はチャラそうだと感じたのだが、実際はそんなに悪い人ではなさそうだと、真面目な顔つきの彼を見て風花は思った。
しかしだからといって素直に誘いを受けるわけにはいかない。
気のない相手に期待を持たせてもいけないし、そもそも初対面の人と楽しく食事ができるほど風花は世渡り上手ではないのだから。
「ごめんなさい、今日はこれから約束があって」
「そ、そっか……」
咄嗟に嘘をついてしまったことを申し訳なく思いながら風花は頭を下げた。
これで大丈夫だと、風花は胸を撫で下ろしたのだが、
「じゃあさ、来週はどうかな? オレは水曜は遅番なんだけど、他は早番だからいつでも大丈夫だよ」
「え――」
まったく引き下がるつもりのないらしい彼の発言に、風花は顔を上げて瞠目してしまう。
見上げた先の彼の顔は真剣そのものだ。
その場凌ぎの嘘では、おそらく何度断っても諦めてくれないだろう。
(どうしよう……)
風花はどう断れば諦めてくれるのか考える。
実際に彼氏でもいれば良いのだろうが、風花にはまだそういう相手はいない。
(彼氏……)
その単語に、風花は思い浮かべる人がいた。
(空也さん……)
今日、久しぶりに会った彼は、以前と何も変わらなかった。
相変わらず気怠そうで、猫背で、前髪が長くて、ほとんど目も合わせてくれなくて。
けれど風花はそれが嬉しかった。
くくるも、夏凛も、月美も、櫂も、轟介も。
みんながまがま水族館にいた頃のままで、まるであの楽しかった頃に戻ったみたいで。
もう、あの小さな水族館はなくなってしまったけれど。
あの時の絆は変わらない。
あの日々に風花が触れ、感じ、得たこの感情は決して消えはしないから。
「ごめんなさい」
風花は再び頭を下げた。
「何度お誘いされても行けません」
「え――」
顔を上げ、きっぱりと断った風花に、男が明らかに動揺を見せた。
「何で? もしかして彼氏いる……?」
「それは……」
風花は視線を落とした。
いると嘘をつけばいい。
けれど彼の方もそれなりに真剣であると悟ってしまったので、嘘をつくことを躊躇ってしまう。
「あ~、いや! そうだよね! よく知らない相手にこんなこと言われても困るよね! ごめんね、また日を改めて――」
このままではまったく脈がないと判断した男が、安全策を取ろうとしたその時だった。
風花の体が、ぐいっと後ろへ引っ張られ――
「改めて話すことなんてないから」
(え――?)
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