イルベックの精霊術士 １３話

（ゼロサム４月号）

次回で最終回だそうです。

クレリアがエトワスの呼び掛けに答えてしまったために大地が揺れだし、カディオさんは早く暗竜の里から離れるんだとクレリアの手を取って外へ向かいます。
ランバルスさんの地竜術によって揺れは抑え込まれますが、このままでは本当に眠る月が目覚めてしまうかもしれない。
カディオさんはどうにか眠る月に気づかれないように旅の月と連絡を取れるようにするから、イルベックにここに来ないよう伝えてくれと頼みます。
エカテリーナさんにイルベックの事情を聞いてからカディオさんたちも色々検討をしていた。
そしてイルベックがコーセルテルで人間として生きられるよう手助けすることに決めたが、その条件が“月の力を抑え込める精霊術士”と一緒に来ること。
つまりエトワスだけでなく、クレリアもコーセルテルに住むことが条件。
そんなことは聞かされていなかったので驚くクレリアと、エカテリーナさんもミリュウさんも事情を説明していなかったことを知って頭を抱えるカディオさん（苦笑）
イルベックには月の精霊の力を消してまったくの“人間”として生きてもらう。
人間として寿命をまっとうするのがイルベックの望みだし、月の力がなければそれを利用しようと企む里の竜を黙らせられるし、眠る月にバレてケンカすることもないはず。
竜の中にも月の力を利用しようとする者もいるんですね；　人間よりは少ないけれど。
そしてエトワスと眠る月が仲良く暮らせるものと思っていたクレリアですが、カディオさんは２つの月は相容れないと言います。
旅の月は半身と月に戻るため、眠る月は半身と共に眠るため。
互いに譲らず、もう何億年も会うたびにケンカしているそうです。何億って＾＾；
ケンカと言っても嵐は起こるし大地は裂けるしで、地上で暮らす者達にとってはとんでもなく迷惑です。
書庫の文献や古い精霊によると、とにかくえらいことになるらしい、と。
それを聞いて、眠る月本人にケンカしないでほしいと聞かないのかと訊ねるクレリア。
カディオさんは聞けるわけないだろうと、眠る月がずっと眠ったままであること、たまに寝ぼけて近くの精霊や月の術資質を持った術士を引き込んでしまうことを話しました。
だからカディオさんは、クレリアも月の術資質を持っているから引き込まれないよう気をつけろと言います。
自分が月の術資質を持っていることに気づいていないクレリアは違うと否定しますが、話しているうちに外へ出ました。
が、そこには宙に浮かぶ大きな大きな月。
おそらく普通の人には見えないのでしょうし、クレリアもただ見えているだけのようですが、霊体になっている今のカディオさんにはその力の凄まじさがダイレクトに伝わったようです。精霊たちが眠る月を怖がるわけがわかると、カディオさんは倒れてしまいました。
眠る月が旅の月を強く呼ぶ声は、まるで狂気――。

一方、洞窟の外に出たエトワスは、風の精霊に頼んですぐそばの山の上に連れて行ってもらいます。
何だか呼ばれている気がすると言うエトワス。
そしてコーセルテルのある方角から、何かに強く引っ張られている。
クレリアたちと違ってエトワスには月は見えていませんが、それでも強く感じられるって相当な力ですよね；；
でもお陰でエトワスは、眠る月とクレリアがそこにいるのだとはっきりと分かりました。

そしてクレリアは、またエトワスに呼ばれた気がしますが、カディオさんに答えるなと言われて今度は留まります。カディオさんも釘を刺せる程度には回復したようです（笑）
カディオさんに言われて自分が月の術資質を持っていることを気づかされたクレリアは、それは小さな子供の頃にしか身につかないと聞いたと、疑問を持ちます。
カディオさんはそうだなと肯定しますが、クレリアが例外なのも事実。
つまり――「あんたがよっぽど旅の月に好かれてるって事じゃないか？」
カディオさんに言われて真っ赤になるクレリア。超可愛いですｖｖ
クレリアは仕事を頼まれて一緒に旅をしているだけだと、恥ずかしさからか言い訳のようにあたふたと答えますが、途中で冷静さを取り戻して、やはりここに一緒に住むことはできないと言いました。
「立派な術士になって一座（かぞく）の所へ帰ると約束してるんです。貧しいながらも私を育てて術学舎に入れてくれた一座のために、がんばるって決めたんです」
クレリアの話を聞いて、残念だけど仕方ないと納得するカディオさん。
旅の月を保護する方法は一から考えようと言ってくれました。
けれどその前に、眠る月を何とかしなければなりません。
クレリアも手伝わせて下さいと申し出ます。
コーセルテルにエトワスが住めるようになるまでが仕事だし、エトワスのお陰でレナーテ先生やロウズ校長の弟子にしてもらえ、月の力まで頂いて何もしないわけにはいかないと意気込むクレリア。
そして、ロウズ校長の弟子なのかと驚くカディオさん（笑）　妹弟子だと分かり、ますます無事に帰してやらんとと苦笑いです。

２人がいる場所は崖の中腹。カディオさんは引き上げに来るから待っててくれと、一度体に戻ります。
でも崖を見上げたクレリア、このくらいなら登れそうだと、引き上げてもらうなら上で待っていればいいんだと、崖を登り始めました。相変わらずの運動神経の良さですね（苦笑）
そしてあっという間に上に辿り着いたクレリア。
空に浮かぶ大きな月を見て、呼び掛けに答えるなと言われたけど、こっちから呼び掛けるのはどうなのかと考えます。
でも勝手にやってまた地震が起こったら怖いからカディオさんを待とうと、旅の月は人間として生きることに決めたから見守って欲しいと、眠る月に伝えたのではなく、そう伝えようと考えただけなのに眠る月に気づかれてしまいました。
そして、クレリアの周りを回る白い光。
するとその光から逃げてと叫ぶ声が。別の崖にマシェルがいます。
「それは眠る月の光だよ！！　それにつかまったら眠る月の夢の世界に――引きこまれる！！」
そんなマシェルの叫びも虚しく、光はクレリアの体を包み込んで――！？

次号で最終回。
エトワスとクレリアは無事に再会し、共に歩んで行くことができるのでしょうか…！？