コーセルテル 子竜物語 ９０話

「竜の都の竜術士⑬」（ゼロサム１月号）

本編読んだ後に扉絵を見ると泣く（※個人の感想です）

アータはアグリナとヤチと一緒に、フェルリさんが夢の中に行っていることを確かめるために家に戻りましたが、地下にはフェルリさんがいました。
しかし彼女は泣いていて、消えかけています。
また何もできなかった、と。
今にもフェルリさんが消えてしまいそうですが、どうすればいいか分からず、マータとタータにクレイベルさんに来て欲しいと伝えます。

そして夢の中も大変な状況に。
せっかくダグがフェルリさんと仲直りして、彼の願いがようやく叶いそうだったのに、それを邪魔した謎の青年。
しかもその悪意はマシェルとナータにも向かって来た――！！
それをセレンディが助けました。マシェルたちをセレンディの夢に引き寄せたのです。
謎の青年はセレンディにとってもかなり驚きだったようで、ものすごい慌てています。
あれはダグじゃない。ダグが残した呪いの念から生まれた黒精霊のはずなのに。
フェルリさんはセレンディが元の場所に帰したそうです。危険な気がしたから。
けれどマシェルたちが目覚めるには元の夢に戻らなければならない。
それにあまり長く戻らなければ無防備な体の方が危ないかもしれないと懸念しますが、それは大丈夫だとシイちゃん。生きている人の体を乗っ取る力はないだろう、と。

外ではシイちゃんが黒精霊について話してくれています。
本来、人の世の精霊――黒精霊はとても脆いもの。
黒精霊は初めに生まれた小さな精霊に同じ想いがたくさん集まって重なることで大きくなる。恨みの念の黒精霊もたくさんの人間の想いが重なったものだけど、まったく同じ恨みが重なるということはほとんどない。竜を恨んでいたとしても少しずつ、中には大きく理由が異なるものもいるはず。
そういうものがひとつになっているから、核となっている一番大きな人間の恨みが薄まれば全体が崩れてばらばらになる。
今みんなが見ているという人は、おそらくそのばらばらになったうちのひとつ。初めの姿がダグだったのなら一番力が強かったのはダグだけど、それは恨みの深さというより術力や霊力が強かったから。
邪魔をしている人がなぜそんなことをできるのかはわからないけど、それでもダグよりは力が小さいはずだから、初めの通りダグの中から恨みや悲しみが消えれば彼を助けることはできるはず。

それを聞いてセレンディはホッとしますが、マシェルはダグが離れたら他の小さな黒精霊はどうなるのかと訊きます。
シイちゃんがたぶん消えてしまうと答えると、マシェルは他の黒精霊も助けたいと言います。
無理だと言うセレンディ。彼も本当は救いたかった。けれどそれは叶わず、竜たちは竜都を捨てた。
けれどマシェルは言います。僕が助けたいのは大昔の人じゃなく、すぐそこで泣いている心残りの精霊です、と。
無理な願いは叶えられないけど、見たい夢くらい見せてあげられる。それで泣き止んでくれればいい。
マシェルがそう言うのなら、もちろん子竜たちだってみんなで助けると言います。

ちょうどそこへ書庫にいるエリーゼからラルカに呼び掛けが。
空間を繋ぐと、エレさんが集めた資料をテイムさんに渡してくれと現れ、それを見た子竜たちはあっと気づきます。
そうそう、やっぱりあの悪そうな青年はエレさんと雰囲気が似てる。

他の黒精霊に邪魔されずにダグと話す方法を考えているマシェルたちに、今度はアータが呼びかけます。
クレイベルさんは来てくれましたが、フェルリさんは消えそうなまま、ごめんなさいと泣いたまま。
ダグに何もできなかった、拒絶されてももっとちゃんと話せばよかったと泣くフェルリさんに、マータがダグさんはフェルリさんのこと好きよと言いきります。
フェルリさんも好きならもう一度会ってちゃんと伝えなきゃ、と今回はお節介ではなくマータが正しいですね。
そしてダグを助けるためにフェルリさんにもう一度呼びかけて欲しいとマシェルが言っているとアータが伝えると、フェルリさんはさっきはラシェが連れて行ってくれたけど今度はどうやって行けばいいのか――と悩む暇もなく、ラシェが姿を見せます。私はずーっとここにいるのに、と。
えっと、ここってこの場にってこと？　コーナの話していた感じだと、マシェルの持っていた術杖に思念が宿っているっぽい感じでしたけど。それとも別にラシェの思念は一ヶ所とは限らないってことでしょうか？

とりあえず、フェルリさんは来られそうだけど元の夢では黒精霊に取り込まれる可能性が高い。
そこでマシェルが僕の夢はどうですかと提案。セレンディがやったみたいに夢をつなげてダグに来てもらう。
するとカディオさんの溜息が聞こえてきました。でも、いい作戦だと思うと言ってくれています。
ダグの故郷を調べたところ、イルベス地方だということが分かった。マシェルやカディオさんの故郷と同じ。
だから夢で僕の故郷を見せてあげれば――とマシェルは喜び、カディオさんにありがとうとお礼を言います。
しかし、書庫にいるカディオさんの瞳には涙が。そしてロイとノイが後ろからカディオさんを抱き締めています。一体他に何の事実が分かってしまったというのか……！？

そしてセレンディとコーナの力を借り、マシェルたちは作戦開始。
まだシリアスな展開は続く……そろそろ胸が苦しくなってきました。
最後にはきっとホッとできる結果になるだろうとは分かっていますけど！！

ツ　ラ　イ